米子まちなか空き家活用プロジェクト「岩倉ふらっと」の取り組み

1.「岩倉ふらっと」の取り組みの概要

(1)事業概要

NPO法人まちなかこもんずが所有者の方から借り受けていた空き家があり、そこを自ら改修して住みたい!と、米子高専建築学科の学生が手をあげたことがきっかけとなり、2013年3月に米子まちなか空き家活用プロジェクト運営会議*を設立し、米子市岩倉町(下記参照)における空き家活用の取り組みが始まった。

平成25(2013)年度鳥取県鳥取力創造運動支援補助金**などを得て、空き家の改修計画づくり、改修工事(多数の学生参加によるセルフビルドを含む)をすすめ2013年11月完成オープン。「岩倉ふらっと」と名付けられたこの建物では、学生の住まい(女子学生専用のシェアハウス)を基本としつつ、時々は地域や市民の方にも「ふらっと」立ち寄っていただけるイベント開催など地域交流の場としての活用もスタートさせた。今後も「岩倉ふらっと」の運営継続と、第二、第三…の空き家活用の取り組みをめざしている。その場合、空き家の立地場所の特性、建物の特性などが多様であることと、活用に関わる団体や個人の構成が事例ごとに多様であることから、空き家の活用方法は、それぞれの空き家ごとに様々な展開を考えていきたい。

(幸い、第二の活用事例として中心市街地内・糀町1丁目に「わだや小路」をオープンさせることが出来た。)

※謝辞…この事業実施に当たり、鳥取県の空き家活用支援関係の補助金をいただけたことは、空き家活用の意欲を後押しするのに十分なものであったと感謝しております。また、空き家所有者の方のご好意に感謝いたしますと共に、改修計画づくり・改修工事において学生の取り組みのご指導・ご支援をいただいた建築設計者の方、建設業者の方、大工さんには、通常の業務と比べて時間も労力もかかる仕事を引き受けていただいたことに感謝しております。また、地元町内、自治会の皆さん、自治会長さんには、完成オープン後も含めていろいろとお世話になっており、改めて感謝いたします。

図 玄関の引き戸の改修

(左 改修前:型ガラスのアルミサッシの戸、 右 改修後:透明ガラスの木製の戸)

*構成団体はNPO法人まちなかこもんず、米子高専建築学科、鳥取大学医学部保健学科、米子建築塾(建築設計のプロ集団)の4団体

**補助金名:平成25(2013)年度鳥取県鳥取力創造運動支援補助金(ネットワーク型)

申請事業名:「まちなか空き家活用プロジェクト〜学生の住まいから学びの交流を広げる「まちの学校」づくり〜」

(2)所在地と建物の特徴

米子市岩倉町52番地

江戸時代の米子城下町の外堀(現在の旧加茂川の一部)に外接してL字型に配置された町人地の一画、町人地を横断する路地(幅員3m)沿いにある。建物は、間口4.3m、奥行き20.4m、建築面積81.6m2、延べ床面積142.2m2(改修前)138.1m2(改修後)で、「通り土間」を持つ町家形式の住宅である。明治44年建築で2013年改修に取りかかった時点で築102年の建物。

(3)取り組みの報道など

この「岩倉ふらっと」空き家活用事業は、当時米子ではまだ事例が少なかったことから、広く知ってもらうことにより空き家活用の機運づくりにも貢献できるものと考えた。

平成25(2013)年11月にオープンし、改修工事の段階からオープン後のイベントまで多くのマスコミに取り上げていただき、市民・県民に広く知っていただくことが出来た。またイベントごとにフェイスブックでの情報発信、チラシ配布を行い、イベント参加者に「岩倉ふらっと」を見てもらう機会となった。また県内外から多数の見学・視察を受けている。

日本海新聞2013年11月5日付で掲載された記事

2.「岩倉ふらっと」の主な事業内容

(1)改修計画づくりと改修工事を通した学生の実践的学習の機会づくり、そして支援体制の組成

米子高専建築学科の学生にとっては、参画した専門家の支援を受けながらも、空き家改修プランの作成、補助金審査のプレゼン、改修工事の一部を学生のセルフビルドによるワークショップとして実施するなど、貴重な実践的学習の機会となった。

・改修計画づくり(米子高専建築学科の担当教員の指導および、地域の設計者集団「米子建築塾」メンバーのアドバイス)

・改修工事の一部(建築業者さんの協力により主として大工さんの指導のもとにワークショップとして実施)

またオープン後は、米子高専建築学科、鳥取大学医学部保健学科が主催のイベントでは学生が運営に携わっている。

➡「改修工事とワークショップの実施」について、詳しくはこちらをご覧ください

(2)地域交流スペースを用いたイベントの開催により、まちの再生・活性化のきっかけづくり

まちなかの空き家を活用するにあたり、学生の住まいにとどまらず、地域に開かれた施設としてまちの再生・活性化のきっかけになるようにと、イベントを年に何回か開催することとした。

学生が居住を開始した2013年11月以降、「岩倉ふらっと」1階の道路に面した土間と和室からなる「地域交流スペース」を用いて、毎年度3〜4回、各運営団体がそれぞれの専門性を生かしたイベントを実施してきた。特に初年度の交流イベントは多彩なものとなり、各イベントとも地元住民はもとより若者・学生・社会人までの幅広い参加がみられた。2015年度以降は鳥取大学保健学科と米子高専建築学科の学校関係のイベントに限定されているが、いずれのイベントにおいても学生が企画運営に関わっている。このようなイベントを今後も継続して取り組む予定である。

▲(左)講演とトークイベント / (右)全国デザコン優秀作品展の様子

▲(左)健康チェック・測定 / (右)ミニ講座と茶華道部の学生さんによるお茶会の様子

➡「地域交流スペースを用いたイベント」について、詳しくはこちらをご覧ください。

(3)学生が居住することで地元地域の活性化に期待

2階に個室3室があり、定員3名の女子学生専用のシェアハウスとして、2013年11月から運営を開始した。これまで、米子高専の学生、鳥取大学医学部の学生を中心に、ほぼ定員いっぱいの状態で推移している。人口減少・高齢化が進む地域の中に若者が住むことで、まちに少しでも活気が広がることを期待している。
なお、「岩倉ふらっと」の入居条件として「地域の自治会に加入すること。ゴミ出し・回覧板など日常の地域のルールを守ること。」などの項目を掲げている。
またオープン当初、住民の方から「空き家に人が住み、時々は人が集まるようになって、路地が明るい雰囲気になった。」などの声が聞かれた。

(4)岩倉ふらっと案内パンフレットの発行
2014(平成26)年度、「岩倉ふらっと」案内パンフレットを、学生を中心にメンバーが協力して発行した。「岩倉ふらっと」の取り組みの流れを写真・年表で紹介すると共に、「岩倉ふらっと」を住まいとして、また交流イベント会場として使いたい方のための情報提供などを行っている。このパンフレットは、「岩倉ふらっと」や「わだや小路」に置いてある。

▲パンフレット

3.「岩倉ふらっと」のご利用案内

■「学生の住まい」の入居者募集

(1)入居条件など
定員3人の女子学生専用のシェアハウスです。入居ご希望の方は、居住者か「運営会議」メンバーにお問い合わせ下さい。また下記サイトをご覧ください。
※「岩倉ふらっと」独特の条件として、自治会への加入とルールの尊重、および「運営会議」の活動に賛同し、イベント実施などの活動に協力することなどがあります。
家賃(建物管理運営協力金)15,000円/月、共益費(電気代、水道料金、灯油代、インターネット利用料など)は居住者の実費負担

(2)利用可能スペースと設備・機器
2階:3室の個室、個室条件(各室6畳+α、施錠可、エヤコン設置、各室独立したアクセス・窓あり、隣接室間は壁)
1階:共同利用スペース・設備(DK+電磁調理器+電子レンジ+炊飯器+冷蔵庫、水洗トイレ、シャワー室、洗面器、洗濯機、給湯器、石油ストーブ、居間+電気こたつ+扇風機)

■「地域交流スペース」の利用者募集
地域民・一般市民・団体が独自企画するイベントの場としてご利用いただけます。ご希望の方はお問い合わせ下さい。

イベント利用条件
・利用可能スペースと人数
玄関土間(4m×5m)+椅子16脚
和室6畳+座布団10人分
※玄関土間と和室を一体として利用可能です。合わせて26人が座れます。
他にDK、トイレ
・利用可能設備
プロジェクター、スクリーン、アンプ+スピーカー
・利用料金
1日2000円(電気・上下水道使用料・暖房器具使用料を含む。※5時間程度以内の場合)

■見学希望者
見学希望がある場合は、「運営会議」のメンバーに申込み下さい。日程調整の上ご案内します。料金は無料。

4.運営会議の紹介と連絡・情報発信・アクセス

「岩倉ふらっと」運営主体 米子まちなか空き家活用プロジェクト運営会議について
米子市のまちなか(中心市街地)に多数みられる空き家を貴重な資源としてとらえ、多様な団体・個人と連携して活用に取り組み、まちの再生・活性化につなげることを目的としています。皆さん、一緒に活動しませんか! メンバー募集中です!詳しくは下記サイト参照。
※また、活用可能な空き家を募集しています。活用方法については所有者の方とご相談の上進めて参ります。

構成団体
・NPO法人まちなかこもんず(理事長 片木克男)
・米子高専建築学科(担当 高増先生)
・鳥取大学医学部保健学科(担当 徳嶋先生)
・米子建築塾(担当 来間直樹)

連絡先
運営会議代表 片木克男
電話番号:0859-29-4061 Email: by7k-ktg@asahi-net.or.jp
米子高専建築学科高増研究室
電話番号:0859-24-5176 Email:takamasu@yonago-k.ac.jp
※WEB情報発信サイトからでも結構です。

WEB情報発信サイト
「空活プロジェクト | Facebook

交通アクセス
・住所:米子市岩倉町52番地

(「一銭屋」の並びの旧加茂川寄りで、前面道路は幅員3m)

※駐車場はありませんので、近隣の有料駐車場をご利用下さい。

施設名称 岩倉ふらっと
所在地 鳥取県米子市岩倉町52番地
竣工年月 H25(2013)年10月
用途 貸家(学生用)
運営団体 米子まちなか空き家活用プロジェクト運営会議
設計者 米子工業高等専門学校 建築学科 高増研究室

協力:クルマナオキ建築設計事務所

施工会社 美保テクノス株式会社+学生セルフビルド
建物概要 木造2階建て(鋼板葺き)

敷地面積:90.23㎡(27.3坪)、延床面積:138.1㎡(41.8坪)

活用した

補助金

平成25(2013)年度鳥取県鳥取力創造運動支援補助金
(ネットワーク型)

 

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